ウワサの東京おもちゃショー2015
葛飾発!タカラトミーブースに行ってきた!
~ゾイド編~
葛飾区の一大おもちゃ企業、
タカラトミーが復活を賭ける動物型組み立てキット
【ゾイド・ZOIDS】その新作を徹底取材!!
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[晴れ舞台] http://katsushika.uwasa-no.com/?p=676
[トランスフォーマー] http://katsushika.uwasa-no.com/?p=686
ゾイド・ZOIDSとは、1982年、タカラトミー合併前のトミー社が発売した
歴史ある組み立て式ロボットシリーズである。
動物をモチーフにしたクールなデザインと、
モーターやゼンマイが組み込まれ生き生きと動くのが最大の特徴だ。
設定的、ストーリー的には
「動物型をしたロボット:ゾイドに人間が乗り込み戦記モノの物語を展開する」
という、言わば動物型のガン○ムとも呼べるものであった。
しかしその一方で、ゾイドは金属の体を持った「生き物」であり、
そういう点では同じくロボット達が心を持った金属生命体である
元タカラのトランスフォーマーとも通じるシリーズである。
実際、一部のトランスフォーマーには
外注という形でトミースタッフが制作に関わったモデルがあり、
それらは合併後にトミーから金型が発見され再販されている。
さてそんなゾイドだが、
1982年から始まった第一期シリーズは本格的な戦記SFとしての硬派なストーリー、
「動くプラモデル」としてのクオリティの高さで、
アニメを放映していないにも関わらず大ヒットを記録。
今の中年世代の皆様には幼少期に夢中になった方も多いことと思う。
しかし次第に人気は下降、1990年にシリーズは終了してしまう。
ところが9年後、
1999年に第二期としてゾイドは復活する。
今度はTVアニメ、漫画、ゲームなどとも連動し再び大ヒットを記録。
筆者もこの時幼少期、熱烈なファンになり夢中になった世代である。
当初は第一期のゾイドの再販がメインだったが、
次第に新作キットの開発・販売も行われシリーズは息を吹き返したかに思えた。
…が、再び人気は下降してしまい(理由については後述)
2007年にタカラとトミーが合併してからは、
メインの商品展開は鳴りを潜め
限定商品が時折少量販売される程度に落ち込んでしまっていた。
これには、合併後のゾイドスタッフがトランスフォーマー関連に携わるようになってしまい、
ゾイドにリソースを割けないことも理由の一つとされているが、
そんな中でもゾイドスタッフはゾイドの復活を目指していると
雑誌インタビューで度々発言されていた。
そして2015年、その意思が遂に形となった!!
マスターピース・ゾイドシリーズのお目見えである!!
マスターピースとは…
トランスフォーマーでも同名のブランドがあるが、
コアなファンをうならせるべく徹底的に作りこまれた「逸品」と言えるシリーズ。
そんなMPゾイド第一弾は、
第一期・第二期ともにヒロイックなデザインで
主人公機的な活躍を見せたライオン型ゾイド「シールドライガー」である。
既に各種模型誌で情報は出ているが、
隅々まで作りこまれたデティールに
昔ながらのゾイドに立ち返った「モーターで動く」
というギミックを加え、
まさに究極のゾイドを目指そうという意気込みが感じられるモデルだ。
単純に旧作のシールドライガーの再現にとどまらず、
タテガミのシールドパーツに可動域が組み込まれたり、
新たに「目」が作られたりとこれまでには無かった新解釈も盛り込まれている。
筆者が注目したのはここ!!
なんとコクピットが複座、二人乗りなのだ。
初代シールドライガーは単座、一人乗りだった。
(※ただしアニメでは複座)
しかしシールドライガーの進化系、ブレードライガーは複座だった。
…ということは、既にブレードライガーへの進化は織り込まれているのではないか?
この突っ込んだ質問に、
タカラトミー担当スタッフは「秘密です(笑)」の一言だった。
ちなみにパイロットフィギュアは旧作のゾイドと全く同じもの
(奥のパイロットは二期シリーズでデティールアップされたもの)
だが、完成商品でどうなるか気になるところだ。
こちらはパッケージ。
シックなデザインだが、
裏面のデータベースは旧作のゾイドをイメージさせる画面になっておりファンをニヤリとさせる。
そして早くも第二弾!
シールドライガーのライバル、
セイバータイガー(第一期ではサーベルタイガー)の開発も進んでいる!
基本フレームがシールドライガーと共用なので、
関節部などが同じデティールになってしまっているのが気になる所だが、
まだ開発中とのことで今後改修が加えられる可能性は十分にある。
さらなる発表に期待したい!
ちなみにこれまでのゾイドPVも上映されていたのだが、
第一期ゾイドでシールドライガーの発売時に放映されていた
非常にマニアックなTVCMもバッチリ入っていた。
昭和のレコードの時代、
CHIKAというアイドルが歌う「素敵なサマーボーイ」という曲
とのタイアップで制作された伝説の?CMである。
筆者はこの当時まだ生まれてすらいないので、
どういう意味があったのかはいまいち分からない所があるが…。
第一期シリーズをモチーフにしつつ、
新しくゾイドの世界観を描くゾイドコンセプトアートの新作も発売予定。
現在ゾイドのアプリゲームもリリースされており、
今年はゾイド復活元年となるか!?
是非期待したいところだ。
熱烈なファンとして、あえて厳しい意見を述べる。
ゾイドの衰退の原因は第一期も第二期も同じ轍を踏んだことにあると思う。
つまり、初期に見られていた徹底したスケールモデルとしての作り込み・クオリティの高さを捨て、
コストダウンのために単に動くだけ・歩くだけのモデルばかりになってしまい、
終いにはモーターもゼンマイもないおもちゃ然としたモデルだけになり、
やがてはしぼむように消えてしまったところだ。
それだけなら、
製造コストやファンの求めるものが変わるという流れもあるので
一概には責められないところはある。
が、ゾイドというのは本当に再販をよくやるシリーズなのだ。
第一期ゾイドを第二期で発売するのは、
10年程度のブランクがあるから分かる。
しかし、新しいアニメシリーズが開始されるたびに
前年のゾイドを色と名前を変えて発売するのは
どういうことだったのだろうか。
末期には動力なしのブロック玩具となったシリーズでまで
色と組み合わせを変えて発売するしかなくなっていた。
新規開発がコスト面から厳しいのは理解できるし、
再販モデルも新しい武器をつけたりと工夫を加えているのも分かる。
しかし、単に部屋に同じゾイドばかりがあふれるだけでなく、
新しいゾイドを組み立てた時のワクワク感が年々失われていく
のはファンとして悲しかった。
近年のネット販売限定シリーズが途中で終了してしまったのも、
やはり旧作ゾイドの色・武器変更にはファンも食傷気味だということの現れだと思う。
「ゾイドだから売れない」
ということは絶対にない。
ゾイドジェネシスシリーズの「ムゲンライガー」
リバースセンチュリーシリーズの「ヴァルガ」
人気が伸びなかったシリーズの中でも、
完全新規開発の上にクオリティが高かったゾイドは
ピンポイントで非常に評価も人気も高いのだ。
更には、動力がなくあくまでプラモデルとしての完成度にこだわった
「ハイエンドマスターモデル」ゾイドがコトブキヤから発売されていたが、
そちらは人気を博しシリーズも続いていた。
つまり、ファンは確実に存在し
「新しいゾイドを求めている」
トランスフォーマーも製造コストの高騰で年々軽量化・簡略化・小型化が進む傾向にあるが、
妥協をしながらも最低限こだわるところはこだわり、
ファンが満足するモデルをつくろうという開発スタッフの努力はしっかりと見て取れる。
勿論、実写映画の大ヒットで人気に火が付いたトランスフォーマーと一概に比べるのは厳しいが、
それでもトランスフォーマーにはデザイン・設計に関わる「変形職人」とも呼べるスタッフがおり、
初期から重ねた研究とノウハウを受け継がせているように感じる。
果たしてゾイドの33年間、
初期のスタッフが送り出した傑作ゾイドの開発ノウハウは
若いスタッフに受け継がれてきたのだろうか?
どうすれば過去の遺産に頼らず
「新しい」ゾイド
を世に送り出すことが出来たのだろうか?
今回ゾイドブースでお話させて頂いたタカラトミー社の担当スタッフは、
筆者と同じ20代半ば、第二期・新世代ゾイドを幼少時から楽しんだ世代だということだった。
若い新入スタッフが全く新しいゾイドの開発に挑戦する。
ここにゾイドの未来の希望があると感じた。
旧作リメイクから完全新作、
そして再ブーム目指して、走りだせ!
ゾイド!!