10月にしか食べられない「どさん子亀有」の限定カレーは更に進化していた
こちらの記事のスピンオフ記事です。
10月だけはなぜかカレー
毎月さまざまな限定麺で驚きと感動を与えてくれることでおなじみのどさん子亀有店だが、10月だけは決まってカレーが提供される。
そしてそのカレーは驚くほど美味しいので、9月も終わりくらいになると、どさん子常連客の会話から「カレー」という単語がチラホラ聞こえてくるようになる。
夏の終わりを告げる秋の風物詩ともいえる。
それだけ人を惹きつけるものがあるのだから、たかが中華料理屋のカレーと甘く見てはいけない。カレーだけn…
試食に呼ばれるのは選ばれしものだけ
私が幸運にも今回のカレー試食会に呼ばれたのは、たまたま先週亀有に引っ越したお祝いとして、編集長が取り計らってくれたものだった。
まるで自分の店かのようにどさん子にご招待してくれる編集長。ナイスガイ。マジ尊い。
毎月「編集長+1名」という、どさん子試食会の限られた切符を手に入れられたのは、あまりにも幸運であったと言わざるを得ないだろう。
引越しもしてみるものだ。
1年振りの香り、1年振りの再会
仕事も早々に切り上げ、どさん子へ向かうその足取りはまるで、遊園地に遊びに行く子供のようでもあった。
入店して早速「儀礼」であるレモンサワーと餃子を注文。間髪入れずに編集長の口から出る
「アレもお願いします」
の一声。カレーって言えばいいのに。
レモンサワーで胃袋を叩き起こし、カレーの準備をさせていると、ほどなくしてカレーの香りが漂ってくる。
一年ぶりの香り。他のカレーとはどこか違う懐かしい香りが嫌が応にも気持ちを昂ぶらせる。それに呼応するかのように胃袋も唸りを上げる。
そして目の前に出されるカレー。
そう、なんの変哲も無いごくごく普通の“見た目の”カレーである。
味と真心の隙を生じぬ二段構え
「お兄さんのは辛めにしときましたから」
辛いものが大好きな私に合わせて、何も言わずとも好みの味にしてもらえるのはさすがに頬が緩んでしまう。
真心とは書いて字の如く、お客さんと真っ向から向き合った心のあらわれなのだろう。
店に来るたびに、人として見習いたい心遣いを感じさせてくれる。
私はといえば恥ずかしいことに、カレーを一口食べて、緩んだ頬が更に緩んでだらしなくなってしまっていた。
過剰ともいえる期待にすら簡単に応える味は、去年よりも爽やかなコクがあるように思える。つまり、確実に進化しているのだ。
食べ進めると、それが果物の甘味とスパイスの風味であることはわかったが、それを突き詰める事に何の意味もない事を悟り、それ以上考える事をやめた。
食べたくなったらまたここに来ればいいだけなのだから。
つい先程まで、ローンだ何だとボヤいていた彼も、この時ばかりは至福の顔をしていた。
それがとても嬉しかった。あと、なんかすっごい喋ってた。
この世の幸せを全て集めたような顔をしている向かいの男の食べているカレーを一口もらうと、これまた驚きの味であった。
スパイスがふんだんに効いているこちらのカレーとはまた違って、「優しさ」を口の中に放り込まれたようなまろやかさが広がり、後からスパイスのパンチがちゃんと追いついてくる。
キャンプファイヤーの終わりの様なノスタルジーを感じながらあっという間に完食。
やまない会話のドッヂボール
美味しい以外に評価することなどないと思い、感想戦も早々に店を出ようと思っていたのだが、向かいの男の人がこれでもかというくらい感動を噛み締めていたので暫く感想をぶつけあってから席を立った。
一度でも食べたことのある人ならば、自信を持って「今年も期待して欲しい」と言えるし、まだ食べていない人には是非一度食べて欲しい。どさん子のカレーは笑顔を運んでくれる。
今年の10月も幸せな日々が送れそうだ。